1.4倍の成果を生む“対等な契約”
日本企業がまだ知らない武器とは?
最近、ある契約書のドラフトを書いていた時に、
ふと、私のなかで強烈に蘇ってきたエピソードがあります。
それは、私が一般社団法人企業の未来づくり研究所(IOT)を立ち上げる直前、
フィンランドのファシリテーションメソッドを学んだときのことでした。
その学びの師である Grape People 創業者・Pepe Nummi さんとの、ある“ひと言”をめぐる出来事です。
その記憶は、契約とは本来どうあるべきか、
そして組織の生産性や信頼関係にはどんな要素が必要なのかを、
あらためて深く考えさせるきっかけになりました。
なぜ今、北欧の話をするのか?
ここで「なんでいきなりフィンランド?」と思われた方もいるかもしれません。
しかし実は、国際競争力・生産性・幸福度といった指標で
毎年のようにトップを占めているのは、アメリカでも中国でもなく 北欧勢 です。
特にフィンランド・デンマークは世界ランキングの常連で、
生産性は日本の 1.4倍以上。
「残業なし」「4時に帰る」などワークライフバランスの話ばかりが強調されがちですが、その裏側には “仕組み”“文化”の強さがあります。
そして驚くことに、フィンランドは日本と似ている点がとても多いのです。
●国土は小さく、資源は乏しい
●国民性は控えめで、自己主張が強くない
●“沈黙に耐えられる文化”があり、人前で多くを語らない
●90年代、日本のバブル崩壊と同時期にフィンランドも大不況を経験
つまり、条件が近い国が、見事に再起し、生産性で日本を大きく上回ったという事実は、
日本企業にとって学ぶ価値が非常に大きいのです。
では、その違いを生んだ根っこは何か。
フィンランドの社会や組織文化を深く探っていくと
そこには「対等性」と「対話文化」という強力な土台が存在します。
精神医療の現場から生まれた オープンダイアローグ に象徴されるように、
フィンランドでは肩書に関係なく、人と人が対等に言葉を交わし、
立場に関係なく安心して意見を表明できる環境づくりが重視されています。
この価値観は、ティール組織やホラクラシー型組織といった
“自律分散型”のマネジメントモデルの土台にもなっています。
そして私は、その文化を象徴する場面に、直に立ち会うことになりました。
創業者からの「Are you happy with this?」という問い
フィンランド式ファシリテーションを学んだ後、
私はPepeさんと、学んだ内容の扱いに関する Agreement を交わすことになりました。
Zoomで契約書ドラフトを見ながら意見交換していた時のことです。
Pepeさんはドラフトを一通り説明し終えると、
静かな口調で、私にこう尋ねました。
「How do you feel? Are you happy with this?」
(あなたは、この内容で幸せですか? 満足していますか?)
私は思わず言葉を失いました。
なぜなら、契約の場面で
「あなたは幸せ/満足ですか?」
などと聞かれた経験は、これまで一度もなかったからです。
まして相手は Grape People の創業者であり、第一人者です。
日本では、契約は“飲むか飲まないか”の力関係で語られがちです。
契約書は、強い側が条件を提示し、弱い側が飲む。
修正はほとんど通らない。
相手の納得感よりも、リスク回避や縛りの強さが優先される。
しかしフィンランドでは、考え方が真逆です。
契約とは「共に成功するための合意」だという前提がある。
だからこそ、相手が幸せかどうか、不安が残っていないかを確認する。
納得できる形まで整える。
双方が対等であるという感覚を何より大切にする。
私は、この“文化の違い”に大きな衝撃を受けました。
尊重とは、気持ちではなく“行動”で示すもの
契約の場面での尊重は、感情的な優しさではありません。
とても実務的で、極めて合理的な行動です。
もし双方が納得していなければ、その契約は長続きしません。
途中で不満や摩擦が起こり、協働のスピードが落ちます。
心理的安全性が崩れれば、良いアイデアも出なくなります。
逆に、契約段階で“対等性”が確保されていれば、
●信頼が生まれる
●意見を言いやすくなる
●問題が起きても建設的に向き合える
●主体性が育つ
●生産性が上がる
つまり、対等な契約は
生産性そのものを押し上げる“組織文化の武器”になるのです。
生産性1.4倍の国が、その起点に「対話」と「対等性」を置いているのは、
決して偶然ではありません。
日本の生産性が伸び悩む理由は
現場力ではなく“文化のボトルネック”かもしれない
私たちはつい、
生産性の低さを「スキル不足」「働き方の問題」に結び付けがちです。
しかし、北欧の事例を見ていると、
生産性の土台はもっと根源的なところ——
“人の扱い方”や“合意形成の文化” にあることがわかります。
上司と部下が対等に話せるか。
意見を言える安心感があるか。
契約や会議において、立場の強い側が一方的に押し付けていないか。
対話を通じて共通の目的に向かう文化があるか。
これらはすべて、組織のスピードと成果に直結します。
そして、日本はここに大きな改善余地があります。
だからこそ私は、
“対等な契約”という考え方を、
単なる契約テクニックではなく 生産性を上げるための経営戦略 として捉えてほしいのです。
あなたの組織では・・・
「Are you happy with this?」
と聞き合える文化がありますか?
Pepeさんのこのひと言は、
私にとって“組織の未来を考えるうえでの指針”になりました。
契約とは、支配ではなく協働のスタートライン。
対等性とは、甘やかしではなく、生産性の源泉。
日本企業が本当に強くなるためには、
こうした“見えにくいけれど本質的な部分”を整えることこそがカギだと感じています。
そして、私たちIOTでは、北欧の知見を日本の文化に合わせて実装するための
対話型組織開発・研修プログラムを提供しています。
あなたの組織にも、
1.4倍の成果を生む“対等な文化” を根付かせるためのお手伝いができれば幸いです。
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