“報連相”の順番、逆じゃない?
~「相談」から始まる信頼ベースの働き方とは ~
「まずは報連相!」という呪文
「報連相(ほうれんそう)」
それは、日本の社会人としての基本、ビジネスマナー
あるいは新人研修で真っ先に教えられる「常識」。
「まずは報連相をしっかりね」
「報連相ができてないぞ」
こうした言葉が、日々の職場でどれほど交わされていることでしょう。
実際、私たちの研修現場でも「直近の課題や目標は何ですか?」と訊くと、
一定数の参加者から「もっとホウレンソウを徹底したい」といった答えが返ってきます。
もはやこれは、日本社会で働くうえでの“お作法”のようなものになっています。
でも、少し立ち止まって考えてみましょう。
「報連相」って、何のためにやっているのでしょうか?
そして、その順番って本当に正しいのでしょうか?
🔄 James Skinner氏の“逆転発想”
そんな私の固定観念を揺さぶってくれたのが
James Skinner氏との対話の中での一言でした。
彼はこう言ったのです。
「“相談→連絡→報告”の順じゃないと、意味がないでしょ?」
え? 順番が逆?
最初は面食らいましたが、話を聞くうちに「なるほど」と腑に落ちました。
まず、“相談”をしてもらえれば、相手の考えや背景を知った上でアドバイスできる。
そして、動き始めたら“連絡”で進捗をシェア。
最後に“報告”として成果を伝えてくれればいい。
これって、とても自然な流れですよね。
恥ずかしながら私は、これまでなんとなく語呂合わせで
「ホウレンソウ」を深く考えることなく
疑問すら持ったことがありませんでしたが
むしろ、日本型の「上司にまず報告。次に指示を仰ぐ」的なやり方は
非効率の元凶なのではないか?
そう感じたのです。
⚡ “任せたら終わり”が生む、驚きのスピード感
Jamesはさらに、こう言いました。
「僕は、“任せた”と思ったら、そこで“完了”したとみなすよ」
つまり、相手を信頼して任せた以上、いちいち確認しない。
後から報告が来るかどうかも、あまり気にしない。
その代わり、相手が困ったら、いつでも“相談”は受けるよ、という姿勢。
この話を聞いたとき、私は北欧の組織文化を思い出しました。
デンマークやフィンランドでは、上司が部下を“管理”するというより、
“信頼して任せる”マクロマネジメント型が主流です。
「上司が逐一確認する」のではなく
「部下の判断を尊重し、必要があればサポートする」というスタイルです。
そこには「報告がない=上手く行っている/頑張っている印」という共通認識があります。
ところが、
日本では「部下を心配している」といえば聞こえはいいですが
実態は「報告がない=さぼっているのでは?」と疑ってしまうことが少なくありません。
⏳ 報連相の手間が“ビジネスのスピード”を奪う?
考えてみれば「報告」「連絡」「相談」を
丁寧に、こまめに繰り返すには、上司と部下の双方に多くの時間と労力がかかります。
しかも、報連相が「上司に対する義務」や「マナー」になってしまうと、
本来、相互の目的達成のために使うべき時間が
“体裁を整えること”に奪われてしまう。
「ただでさえ忙しいのに、上司に途中報告する資料も作らなきゃならないなんてやってられない…」
「本当はまだ相談したい段階だけど、怒られないように報告っぽくしておこう…」
こういった“保身のための報連相”が蔓延すると
むしろ本質的な対話や目的の達成が滞ってしまう、というのは
組織で働いたことのある人なら、大なり小なり経験のあることではないでしょうか。
🤝 信頼は、双方向の“胆力”
では、Jamesのように「任せたら完了」と割り切るには、どうしたらよいのでしょうか。
そこに必要なのは“胆力”だと思います。
上司には「相手を信じて任せる胆力」
部下には「その信頼に応える覚悟と責任感」
この両方が必要です。
一方通行では成り立ちません。
そして、実際にそれができている組織も、少なからず存在します。
特に、若手が早期に活躍しているチームや、成果を出し続けている企業には、
この“信頼ベース”のカルチャーが根付いているように感じます。
仕事の「やり方」から「あり方」へ
結局のところ、「報連相」そのものが悪いわけではありません。
でも、そのやり方が形式化し「安心・安全のための儀式」になってしまうと、
本来の「目的に向かって共に進む対話」ではなくなってしまうのです。
Jamesとのやりとりを経て、私は思いました。
報連相の前に必要なのは、「信頼」と「対話」だと。
そして、「信頼」とは、“管理しないこと”ではなく、“任せるという覚悟”なのだと。
今、日本の組織や職場に求められているのは、
仕事の“やり方”の改善ではなく、もっと深い“あり方”の見直しかもしれません。
次の一歩へ:あなたの職場では、「相談」から始まっていますか?
「相談しやすい空気」「任せる文化」「信頼に応える姿勢」――
これらが揃って初めて、“報連相”は本来の意味を取り戻します。
あなたの職場では、報連相の順番、どうなっていますか?
まずは小さな「相談」から、信頼ベースの働き方を始めてみませんか?
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