ウチには「優秀な人材がいない」は本当か

人材不足を嘆くそ組織が見直したいこと

唐突ですが、私はもう10年以上、白米ではなく玄米を食べています。

これまで、コシヒカリ、あきたこまち、ななつぼし、ロウカット玄米など、様々な銘柄を試してきました。

とはいえ、普通に玄米モードで炊いて食べている時には、銘柄ごとの違いが分かっていたわけではありません。どれもそれなりに美味しい・・・正直、その程度でした。

💡ところが最近、かなり驚く出来事がありました。

私はここ数年、週に一度くらい、胃を休ませる意味もあって玄米粥を食べています。

ただ、水分を多めにして炊くのが好みなので、それまで使っていたお米では、炊き上がった直後はお米が十分に開かず、少しシャバシャバした状態。
好みのとろみになるまで、炊飯器の中で2時間ほど寝かせる必要がありました。

そこである時
「玄米でも、もっちり炊き上がる」
という説明に惹かれて、ミルキークイーンという品種を買ってみました。

初めて玄米粥を炊き、炊飯器の蓋を開けて、お玉を入れた瞬間。

「ハァ?」

家には私一人しかいないのに、思わず大声が出ました。
炊き上がった直後なのに、すでにお米がしっかり開いて、もっちりしている。
それまで食べてきた玄米粥とは、明らかに違ったのです。

ところが面白いことに、普通の玄米ご飯として炊くと、その違いはそこまで顕著には感じません。
「お粥」という条件にした時に、このお米の特徴が一気に際立ったのです。

その時、これは人にも似ているなと思いました。

人の能力は「一場面だけ」を見ても分からない

職場では、しばしば人をこう評価します。

「あの人は優秀だ」
「あの人は普通」
「あの人には、まだ少し力が足りない」

もちろん、経験や知識、技術の差はあります。

けれど実際には、同じ人でも、

☑ どんな仕事を任されるか。
☑ 誰と組むか。
☑ どこまで裁量を与えられるか。
☑ 何を期待されているか。
☑ 安心して意見を言えるか。
☑ 失敗した時にどう扱われるか。

・・・こうした条件によって、発揮される能力は大きく変わります。

普段の仕事では目立たなかった人が、あるプロジェクトに入った途端、驚くほど力を発揮する。

逆に、以前の職場では高く評価されていた人が、環境が変わった途端、思うように成果を出せなくなる。

こうしたことは、決して珍しくありません。

能力とは、その人の中に単独で存在しているものではなく、仕事や人、環境との組み合わせによって表に現れるものでもあるからです。

「人材がいない」は、本当に人材の問題なのか

経営者や管理職の方から、

「うちには優秀な人材がいない」
「もっと主体的に動いてほしい」
「次を任せられる人が育たない」

という言葉を聞くことがあります。

もちろん、本当に採用や育成が必要な場合もあります。

ただ、その前に一度考えてみたいことがあります。
今いる社員が能力を発揮できる条件を、組織側はつくれているでしょうか。

例えば、
● 何を考えることを期待されているのか分からない。
● 提案しても、結局いつも上司の答えに戻る。
● 失敗すると強く責められる。
● 任されたと思ったら、細かく口を出される。
● 得意分野とは違う仕事ばかり求められる。

こうした環境では、本来能力のある人でも、次第に考えなくなります。

するとリーダーからは
「主体性がない」「能力が低い」
と見えるようになる。

けれど、もしかすると問題は、人ではなく能力が立ち上がりにくい場の設計にあるのかもしれません。

組織開発とは、人を変えることだけではない

組織開発というと、

☑ 社員の意識を変える
☑ コミュニケーションを良くする
☑ 研修でスキルを高める

といったことをイメージされることがあります。
もちろん、それらも重要です。

でも、本質は「人を変えること」だけではありません。

― 人と人との関係
― 役割
― 仕事の進め方
― 意思決定の仕組み
― 対話のあり方
― リーダーの関わり方

そうした人が力を発揮する条件そのものを見直すことも、組織開発の大切な役割です。

経営者やリーダーの仕事も、優秀な人を見つけることだけではありません。

今いる人の中にある、まだ十分に表に出ていない力を見つけ、
「この人は、どんな条件なら一番力を発揮できるのか」
を考え、その条件を整えていく。

それによって、これまで「普通」に見えていた人が、組織にとって欠かせない力を発揮し始めることがあります。

ミルキークイーンがお粥になった時、突然その特徴を見せてくれたように。
あなたの会社にも、まだ一番おいしい「炊き方」を知られていない人がいるかもしれません。

「優秀な人材がいない」と新しい人を探す前に。

今いる社員が、どんな時に目を輝かせ、どんな仕事なら自然に力が出て、どんな環境ならもっと考え始めるのか。

一度、そんな視点で組織を眺めてみてはいかがでしょうか。

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